今年の税理士試験(第76回)から税理士試験WEB申請オフィシャルサイトというものが創設されたそうです。申し込みや受験の結果を確認することができるサイトですが、自分が受験生の時にあればよかったなと思います。なんせあの手書きの申し込み用紙が苦手で…。

※お世話になったテキストたち
理論をどうやって覚えるのか
今年も税理士試験追い込みの時期になってきました。事務所勤務の方で冬から確定申告、そして3月決算の5月申告までがいわゆる繁忙期という方も多いでしょう。わたしはこの時期の時間の捻出が本当に難しく、受験生を長く続けてしまった要因の一つでした。
今回は、税理士試験の勉強方法、特に理論暗記について書いてみます。受験している方はご自身の勉強法をお持ちだと思いますが、かつてのわたしのように勉強方法を模索している方の参考になれば。
税理士試験は、科目によって理論の暗記が必要になります。わたしが受験した試験でも、財務諸表論、所得税、相続税、消費税、住民税、固定資産税と理論の暗記を続けました。(←合格していない科目もあります。)
わたしは物覚えが良くないのか、暗記に時間がかかる方でしたが、これも要領なのだと思います。当然最初は1つの理論暗記に数時間かかるけれど、慣れと工夫次第では徐々にその時間も短くなっていく、そんな感覚はありました。
受験生時代は頭の大半を受験勉強が占めていましたので、理論の勉強でこんな方法が良いと見聞きするたびいろんな方法をためしました。効果があったもの、なかったものとそれぞれでしたが、主にやってきたものはこんな感じです。
・理論の条文をマーカーの色で区分する
・接続後など(又はもしくは及びetc)を目立たせる
・自分の声で理論条文をボイスメモなどに録音して、移動時間などにそれを聴く
・理論を音読する
・条文を音声入力する
・Wordで入力する
・実際に条文を手書きする
・過去問を反復する
・語呂合わせやこじつけで暗記する
効果的だった理論暗記の方法
わたしが実践した勉強法の中で特に効果的だったと思うものをあげてみます。あくまでわたしにとって効果的だったものであり、個人差があると思いますので、どれがご自身にあうのかためしてみないとわかりません。
・音読する
理論は何度も条文を読むことが大切です。理論は最初から暗記するのではなく、何度も反復してテキストなどを読み、そこから暗記に入る。時間がかかるけれど最初から理論を一言一句暗記するよりも実は効果的です。音読ですので、可能な限り声に出して読みましょう。耳からも吸収して忘れにくくするのです。
そして、さらに効果的なのは運動を兼ねることです。可能であればウォーキングなどをしながら読むのが良いと聞いたことがあります。わたしは夜や朝の暗い時間帯に勉強することが多かったのでこれはできませんでしたが、その代わりに机の前にその日に音読する条文を貼り、その場で足踏みや屈伸(スクワット)をしながら音読しました。眠くなりにくく、体を少し動かすのでただただ勉強するという苦痛を和らげる効果があります。ちょっとした運動不足の解消にもつながるので一石二鳥、いや一石三鳥です。
音読も最初は条文の意味がわからず、ただ読むだけになるでしょう。でも焦らずに何度も読みます。同じ条文を何度も読み続けると、なぜこのような書き方をしているのか、条文の構成や大切な用語がどの言葉にかかっているのかが見えてきますし、ぼんやりと条文が頭に残るようになります。いや、残るようになるまで音読するのです。条文の意味を考えながら。
これができてきたら、ようやく少しずつ区切りながら暗記を進めます。少しずつ区切りながら暗記する方法は一般的であり、専門学校なども勧めている方法です。
・Wordで条文を入力する
音読+暗記はインプットになります。これらのインプット作業がおおむねできてきたら次にアウトプットへ移行します。よくインプットよりもアウトプットの方が大切だと言われます。実際にわたしもインプットよりアウトプット重視で勉強しました。
パソコンでWordを起動し、暗記した理論を入力します。このときアウトライン機能を活用すると、理論テキストのように入力することができますし、後で見直すときにもわかりやすい、さらには仕事で書類を作成するのにも役立つという効果があります。
また、Wordで入力することによりタイピングの練習にもなりますので、これまた一石三鳥です。
・実際に手書きしてみる
本試験は当然すべて手書きです。経験者の方はご存じだと思いますが、2時間の試験なのにその時間では解ききれないほどの問題が出題されることもあります。その対応方法としても、本試験をみすえた手書きの練習が必要です。インプットした条文を実際に手書きで書くとどれだけの時間がかかるのか、これを把握している人は問題文をざっと読み、解答骨子をあげた時点で、おおよそどの程度の時間がかかるのかを把握することができるのです。腱鞘炎には注意してください。
理論にかける時間はどれぐらい?
これも個人差があることなので、「わたしの場合」というお話にしかなりませんが、2023年受験、2024年受験での実体験です。
2023年受験は固定資産税を受験しました。このときの総勉強時間は約617時間でした。そのうち、理論にあてた勉強時間は約283時間、46%ほどを理論に費やしたことになります。
このとき人生初の1発合格をしていますので、これが固定資産税にかけた純粋な時間です。
2024年受験は住民税を受験しました。このときの総勉強時間は約471時間でした。そのうち、理論にあてた勉強時間は約297時間、63%ほどを理論に費やしたことになります。
住民税は数回受験しており、合格した年のデータのため、実際にはもっと時間を費やしています。
あくまでわたしの場合ですが、1年間勉強するうちの実に300時間近くは理論にあてていることになります。しかも、これは机に座ってインプット・アウトプットした時間の合計であり、仕事の合間や移動時間などのスキマ時間にも理論の暗記を進めていましたので、実際にはこれ以上の時間をかけています。
300時間÷365日≒0.8時間/日という計算になり、単純計算でも毎日1時間近くは理論の暗記をしていたことになります。
毎日休むことなく時間を確保してコツコツと単純な理論の暗記を進める、結局のところこの地道な努力をみんな続けているのです。
理論は特に成果が見えにくい勉強だと思います。時間をかけて覚えても次の日には忘れている、そんな絶望感も乗り越えなくてはなりません。何時間もかけたのに、あれはなんだったのかと肩を落としたことは数知れず。
でも人間みな同じです。そのことに一喜一憂せず、覚えて忘れて、そしてまた覚えて。淡々と、粛々とこれを恐れず積み上げていければ、きっとそこには光が見えてくると思います。
月並みですが、なんと言っても最後まであきらめないこと。わたしのように20年以上かけて税理士になる人もいるのだから。
